【今更って】Pパタが選ぶ2017年ベストアルバム35【言わないで】
(2016年ベストはコチラ)
2016年のベストアルバム記事も大層遅れたが(2017年7月アップ)、2017年分はとうとう翌年中にすら間に合わなくなってしまった。大阪を直撃した地震でCDラックがぶっ倒れてしっちゃかめっちゃか! といったアクシデントに見舞われたりもしたけど、そんなもん言い訳にならないレベルだよ全く。ちなみにラックは年末にようやく戻しました(この事実からお察し)。
今回は候補が多かったので35作をピックアップし、35位から順番にコメントを書いていったのだけどこれが失敗だった。書いている間に35-32位くらいのアルバムがやっぱり圏外になって無駄になったり、上位と比べると思い入れはやや薄くなるのでそもそも筆が進まなかったり……
なので結局、時間的に厳しいので(何せまだ2018年ベストがまだ控えているのだ)16位以下は個別のコメントは無しにし、最後にざっと触れる程度にした。数枚分書いていた分がおじゃんになってしまったがやむなし。一昨年の話になるけど良かったらちょっと記憶を掘り起こしてお付き合いください。
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35.Maison book girl『image』
34.The XX『I See You』
I See You [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] スペシャルプライス盤 (YTCD161JP)
- アーティスト: THE XX
- 出版社/メーカー: YOUNG TURKS / BEAT RECORDS
- 発売日: 2018/01/19
- メディア: CD
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33.AARON ABERNATY『Dialogue』
32.Spoon『Hot thoughts』
Hot Thoughts [帯解説・歌詞対訳 / 初回生産盤のみボーナス・ディスク付 /2枚組紙ジャケ仕様 / 国内盤] (OLE11372)
- アーティスト: SPOON,スプーン
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / MATADOR
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: CD
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31.Salami Rose Joe Louis『Ztay Sauce Nephew』
30.Solomons Garden『Welcome to the Garden』
29.Tangina Stone『Elevate』
28.Dirty Plojectors『Dirty Plojectors』
- アーティスト: ダーティー・プロジェクターズ,デビッド・ロングストレス
- 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
- 発売日: 2017/03/03
- メディア: CD
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27.Hauschka『What If』
What If [ボーナストラック2曲のダウンロード・コードつき]
- アーティスト: Hauschka
- 出版社/メーカー: p*dis
- 発売日: 2017/03/31
- メディア: CD
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26.Illa J『HOME』
25.FKJ『French Kiwi Juice』
24.有安杏果『ココロノオト』
23.Nosizwe『In Fragments』
22.Bish『THE GUERRiLLA BiSH』
21.DAOKO『THANK YOU BLUE』
THANK YOU BLUE (初回限定盤)(CD+DVD)
- アーティスト: DAOKO
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2017/12/20
- メディア: CD
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20.Richard Spaven『The Self』
19.Kendrick Lamar『Damn』
- アーティスト: ケンドリック・ラマー,K.ダックワーズ,P.ドゥティット,M.スピアーズ,D.ナッチェ,D.タネンバウム,R.ラツアー,A.ティフィス,D.エヴァンス
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2017/05/24
- メディア: CD
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18.Lee Ranald『Electric Trim』
Electric Trim [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (TRCP216)
- アーティスト: Lee Ranaldo,リー・ラナルド
- 出版社/メーカー: TRAFFIC / MUTE
- 発売日: 2017/09/15
- メディア: CD
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17.Kelela『Take Me Apart』
Take Me Apart [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC560)
- アーティスト: KELELA,ケレラ
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / WARP RECORDS
- 発売日: 2017/10/06
- メディア: CD
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16.Charlotte Gainsbourg『Rest』
15.Wayne Snow『Free Snow』
夜を思わせるアーバンな四つ打ちトラックに、ファルセットを交えた繊細で艶やかなボーカルが軽やかに乗っかり心地よい。特に魅力的なのが音響面で、アナログレコードのようなノイズを加えつつ空間の広がりを感じさせるような処理がなされていて素晴らしい。10曲35分と聴きやすい事もあり2017年最もリピートした内の一枚。FKJとかもあったけどハウス系もっと聴きたくなった。
14.關伊佐央『Document Ⅱ Statement』
ジェフ・バックリィのような稀有な歌声と、幽玄でドープな世界観を持つSSWの1stアルバム。オーソドックスな「歌もの」をやるだけでも十分支持されそうだが、刺激的なサウンドを追求する姿勢が素敵。ツイッターで知り合い、本作を機に五年越しでなんばベアーズでのライブでお会いすることが出来て感無量だった。もっと多くの人に聴かれて欲しい。
13.N.E.R.D『No One Ever Really Dies』
少し前の話になるがサマソニにファレルがヘッドライナーで来た当初、僕はまだ彼のことを知らなかった。彼がリーダーを務めるこのグループの音楽を、もっと早く聴かなかった事を今では後悔している。トライバルなビートをメインストリームで通じるサウンドに落とし込む手腕が見事。
12.JeanーMichel Blais『il』
えも言われぬ流麗なピアノの調べに終始うっとり。伝統的なクラシックの素養を柱に新しい扉を開く。もっと聴いていきたいポストクラシック。
11.サニーデイ・サービス『Popcorn Ballads』
初サニーデイ。2枚組100分超えの大ボリュームながら捨て曲は一切なし。いずれもハイクオリティでバリエーションもあって飽きさせない。今作のように今後もCD出してください曽我部さん(切実)
10.欅坂46『真っ白なものは汚したくなる』
ハマっている友人経由で「不協和音」のMVを観たのがキッカケ。軍服をモチーフにした衣装、激しい戦いを繰り広げているかのようなダンス、センター平手の鋭い眼光、それまでの秋元康の手掛けるグループとのギャップに衝撃を受け、彼女たちを熱心に追いかけるようになる。デビューシングルの「サイレントマジョリティー」でも象徴的な、大人や世間に対する反抗やズレを訴える楽曲を主軸にグループのカラーを打ち出す一方、ストレートな愛の讃歌や等身大の女の子のラブソングもあり、アルバムを通してドラマ性が生まれている為か飽きずにリピートさせてくれた。後に独立したひらがなけやきの曲も併せて収録され、今やアンセムとなった「誰よりも高く跳べ!」や、ラストを飾る漢字・ひらがな合唱の「W-KEYAKIZAKAの詩」(※通常盤のみ「月曜日の朝、スカートを切られた」が最終曲になるが)といった感動的な曲も本作に彩りを添えている。
9.大森靖子『kitixxxgaia』
初めて買った彼女のアルバム。ネガティヴィティも愛しいものも併せ呑んで、過剰なまでのエネルギーで楽曲にして打ち出す様に圧倒される。小室哲哉(!)にヒャダイン、Maison book girlを手掛けるサクライケンタといった多様なミュージシャンを巻き込んで、甘くてヒリついた大森靖子というカラーに染め上げるカリスマ性には唸るばかりだし、変幻自在のカラフルなポップ感と迸るロックスピリッツに感情を揺さぶられまくった。同年ボロフェスタで観たライブが凄まじい熱量で、未だにその鮮烈な印象が残っている。
8.U2『Songs Of Experience』
血湧き肉躍るロックの熱と、琴線に触れる優しい・切ないメロディーは健在だが、ただ同じ事を繰り返す訳ではなく、確かに前進する強い意志を感じる。結成から不動のメンバーで40年以上、決して停滞することなく、未だに興奮をもたらしてくれるのだから偉大なバンドだ。あとは来日して下さいお願いします。
7.Arca『Arca』
Arca [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (XLCDJ834)
- アーティスト: ARCA,アルカ
- 出版社/メーカー: XL RECORDINGS / BEAT RECORDS
- 発売日: 2017/04/07
- メディア: CD
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狂気と美を往来する漆黒のサウンド。スリリングで暴力的で、あまりにも研ぎ澄まされていて恐怖を感じるレベルだけどどうしようもなく惹かれてしまう。スペイン語で紡がれる歌声は崇高で素晴らしいとしか言い様がないが、こんな強力な武器を今作(3rdアルバム)まで取り入れていなかった事に驚きを禁じえない。大怪作にして比類なき傑作。
6.Jordan Rakei 『Wallflower』
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
- アーティスト: Jordan Rakei,ジョーダン・ラカイ
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / NINJA TUNE
- 発売日: 2017/09/29
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先に挙げたRichard Spavenのアルバムでもフィーチャーされたシンガー。コーラスワーク含めた歌声の素晴らしさは随一だし、時折オルタナ精神を覗かせる展開と洗練されたサウンドで隙がない。完成度・満足度共に申し分ない一枚。
5.花澤香菜『Opportunity』
Opportunity(初回生産限定盤) (Blu-ray Disc付)
- アーティスト: 花澤香菜
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2017/02/22
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本作はUKがテーマという事で、例えばM11はキュアーの「クロース・トゥ・ミー」の吐息を用いたリズムが取り入れられていたり、M8ではストーン・ローゼスの「フーズ・ゴールド」のビートをまんま引用しながら(笑)ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」のコーラスまで取り入れる合わせ技をみせたりとロック好きのツボを刺激しまくってくれる。各アーティストからの提供曲のクオリティも軒並み高いのだが、何と言っても、それらを天性のスウィートボイスで極上のポップスに仕上げてしまう花澤香菜が素晴らしすぎる(勿論プロデューサー&バンマスの北川勝利の手腕によるところが大きいのも間違いないが)。全編輝かしいポップネスに溢れた名盤。オリックスホールで体感したライブは、掛け値なしに音楽人生に残る宝物となった。
4.Sampha『Process』
Process [ライナーノーツ / 歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (YTCD158J)
- アーティスト: Sampha,サンファ
- 出版社/メーカー: Young Turks
- 発売日: 2017/02/03
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神聖さすら感じられるサウンドとボーカルで紡がれる至極の十篇。文句のつけようのない傑作。R&Bの未来は君に任せた!
3.Klô Pelgag『L'étoile Thoracique』
ドビュッシー、キング・クリムゾン、フランク・ザッパらをフェイバリットに挙げるカナダの鬼才女性SSWの2ndアルバム。優美さやプログレ感、ストレンジ具合が渾然一体となったその音楽に魅了されっ放し。フランス語ボーカルや大胆に取り入れられるオーケストレーションがより中毒性を高め、唯一無二の世界へ誘ってくれます。圧倒的個性万歳。
2.Art Lindsay『Cuidado Madame』
今まで聴けてなかった大御所シリーズ。前衛性とポップさの融合具合が素晴らしい。特にM10の中盤以降に炸裂するギターノイズといったら……! これほどまでに美しいノイズは聴いたことがないという位アーティスティックな香りが漂っていてヤラれた。ノーウェーブ、ブラジル音楽、エレクトロニカといった要素を織り込んで、時に危ういまでのアヴァンさに振れながら独創的な「アート」に昇華してしまうセンスに脱帽(歌声も妙に色気があるし)。いま65歳かな? 今作は13年ぶりの新作との事だけどもっともっと作品を世に送り出して欲しい。
メロディーといい儚げな歌声といい使われている楽器の音色といい、とにかく聴いていて心地いい。はっぴいえんどのような古き良き遺産は受け継ぎつつ、現行の日本のロックシーンのリズムの単調さ等を指摘し音楽的アップデートを試みながらも仕上がりはどポップで、技巧をみせつけるようないやらしさは微塵も感じさせない。聴く度に新たな発見が出来るような素晴らしい魅力に満ちている。ポップミュージックのひとつの理想形をみせてもらいました。
~あとがき~
35枚中9枚が国内アーティストと、前年と比べるとやや減ったかなというところ。コメントを省略した16位以下の中の作品について少し触れると、27位:有安杏果のソロデビューアルバムは構成も良く、全体を通してとてもポジティブなバイブスに溢れた佳作だったが、本作をリリースした約三ヶ月後にももクロからの卒業(及び芸能界からの引退)が発表され衝撃が走った。
タイミング的にこれを制作していた段階で既に決まっていた筈だが、圧倒的に表現者として才能がある子だったのでスパっと辞めるとは思えなかったのだ。本作収録の「色えんぴつ」は作詞のみならず作曲まで彼女自身が手掛けていて、なんと切なく胸に刺さる曲だろうと感動していたほどだったので尚更残念な気持ちが募った。ただ、「普通の女の子の生活を送りたい」との事だったのでしばらくした後にまた戻ってくる可能性もあると信じたい。普通にインスタの更新はしてるしね。
21位:元ソニックユースのリー・ラナルドのソロ作は個人的にかなり推したい。正直彼のソロワークにはあまり関心なかったのだが、オルタナの系譜は引き継ぎつつ、エレクトロの要素を絶妙にミックスしたサウンドがとても良く、改めてファンになってしまったほど。10曲60分なのでそれぞれ尺は少し長めだが、曲の展開が凝っていて、それも聴きやすいレベルなのでダレないのがすごい。未聴の方に強くオススメしたい。
23位のNosizweはネオソウル系の期待の新人。ノルウェー出身だが両親が南アフリカ人という事もあってアフリカンなテイストが入りつつ、洗練されたビートとサウンド(プロデュースは先日傑作をリリースしたGeorgia Anne Muldrow!)で素晴らしい仕上がりになっている。次作も楽しみだ。BiSHはロックスピリッツ全開で熱くさせてくれたし、DAOKOもバリエーションに富んだハイクオリティなポップ満載でかなり楽しんでリピートした。歌とラップのキュートな声最高。Dirty Plojectorsはまさに理想のインディロック!って感じでたまらなかった。
あと、2018年に同年作と思って買ったアルバムが実は2017年作だったというものがあり、出来が良かったので迷ったが発覚したのがランキングを決めた後だったので入れるのは控える事にした。特に気に入ったのがマルーン5のメンバーでもあるPJ Morton『Gumbo』で、Mamas Gun『Golden Days』やJ.Lamotta すずめ『Concious』も良かった。圏外になってしまったものだとRuby Francis、Feist、Ibeyi、Wilsenなども。2017年も大変色々楽しめました。また近々(きっと近々)2018年ベストも上げるので良かったら読んでね!
2018年ベストはコチラ