ノーボーダー・インプロα

音楽への想いを刻みたい

山下達郎のラジオでの発言騒動について思ったこと

 今回の山下達郎の発言については、難しい面があるとは思いましたが、個人的には概ね納得がいくものでした。友人のLINEの返信で書いたものなのですが、せっかくなので少し加筆してここにも自分の気持ちを残しておこうかと思います。

 

※□内は全て山下達郎本人が2023/7/9㈰のラジオで語った内容です

 性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許しがたいことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での、事実関係の調査というのは必須であると考えます。しかし、私自身がそれについて知ってることが何もない以上、コメントの出しようがありません。

 自分はあくまで一作曲家、楽曲の提供者であります。

 要約されてるかと思いますが、このスタンスですね、山下達郎

 性加害があったのであれば許しがたいが判らない事については何も言えない。それとジャニー氏が生み出してきたもの(功績)については分けて考える、というところで一貫しています。

 

 実は僕は去年からの超新参のファンですが、達郎って本当に職人肌で、なるべく音楽のことに集中したい、それに人生を賭けるって感じの人ですよね。僕はこのジャニー氏の問題についてめっちゃ関心もって追いかけてた訳じゃないですが、被害を訴える人も複数人出ていますし、それが”あった”可能性は高そうだとは感じています。

 

ただ、いかんせん当人が亡くなっていて、裁判等で確実に証明されるところまでは現状いっていないので断定して語ることは出来ず、達郎としても先述した通り音楽以外のことに首を突っ込むことなどはする気はないでしょう。彼は音楽に集中したいのであり、また恩義のある人物の闇をわざわざ暴こうとはしないでしょうから。

 

 批判の声って、多分こういった達郎の姿勢に集まってますよね?

被害に遭った人がいそうなのに、そこから目を背けて功績を讃えるなんて、と。

きちんと調べもせず、それでいいのか?と。

 

 僕としてはこういった批判の声を挙げる人たちについて、意見は異なっていますが「いや別にいいだろ」とは言えません。ただどちらかと言うと達郎側の考えに共感しています(完全に公正にはみられていないでしょうが、ファンだからと盲目的に支持しているだけではないつもりです)。

 ジャニー氏による性被害はあったかもしれない。それを肯定する気など毛頭ありませんが、ただ達郎が彼から多大な恩を受けたという事実は変わらないし、

 ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが、戦後の日本でどれだけの人の心を温め、幸せにし、夢を与えてきたか。

というのも、客観的にみても事実だと言えるでしょう。

 

その輝かしい功績の裏で泣いていた少年たちがいたかもしれない事を考えると、たしかに配慮に欠けていると言えるかもしれませんが、

私の人生にとって1番大切なことは、ご縁とご恩です。

とする達郎がこのように発言することを僕は否定出来ません。

 

 このような私の姿勢をですね。忖度あるいは長いものに巻かれていると、そのように解釈されるのであれば、それでも構いません。

 きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう。

 最後のこの言葉、当然批判を向ける人たちが出てきたり、幻滅して自分の音楽をもう聴かないといった人たちが出てくることを想定していたことが窺えますが、突き放したような言い方だと捉えた人も少なくなかったと思います。

 これについては何度も考えましたが、達郎は断絶覚悟で自分の一番大切なものを守りたかったのかもしれません。仮に本当に「闇」があったとしても、どれだけ辛辣な言葉を浴びせられようとも、彼が抱いている恩義はきっと揺るがない。軽率ではなく、むしろ考え抜かれた上での発言だったのかと今では思います。



 唯一ひっかかりがあるとすれば、スマイルカンパニー松尾氏の解任の件。

 事務所の社長の判断に委ねる形で、行われました。松尾氏と私は直接何も話をしておりませんし、私が社長に対して、契約を終了するよう促したわけでもありません。

と言いつつも、

 今回、【松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因であったことは認めます】けれど、理由は決してそれだけではありません。他にも色々あるんですけれど、今日この場ではそのことについては触れることを差し控えたいと思います。

とも言ってるんですよね。え、批判したことが関係あると認めるの? それでこの物言いだと社長に一任したのみとは取れなくない? うーん、尊敬する人を悪く言う人とはやりたくないって気持ちもあるかもだけど、忖度的なものも否定出来ないような……

 

 このあたりの明らかにされていない部分は気になりますね(白状するとこの二人の関係性、いまいちまだ掴みきれていません。あまり情報が出てこないので)。達郎は関係の希薄さを強調していましたが、松尾氏の批判が関係していたのであれば一方的にではなく話し合うとか、何らかのやりとりを挟むことは出来なかったのか? と少し思ってしまったり。

 ーっていうところはあるんですが、冒頭で述べた通り達郎のスタンスや意見には概ね賛同します(松尾氏の件については不透明過ぎるので現状判断が難しいですが)。



 今回の騒動でファンをやめた人たちが出たことについては残念ですが、彼らの気持ちも尊重されるべきだし、達郎もそれらを呑み込んでの発言だったと思います。

 

 こう書くと否定する人もいるだろうし、僕としても全面的に正しいとは決して言いませんが、逃げではなく、(松尾氏のことにも関わっているのであればそれ含めて)強い決意・信念に基づいていたんじゃないかと感じました。 

 

 今月のフェニ一チェ堺でのライブ、楽しみにしてます。